7.CKD合併高血圧のマネージメント(降圧薬治療)

  • 亀井啓太 Kamei, Keita
    山形大学医学部内科学第一講座 助教
    今田恒夫 Konta, Tsuneo
    山形大学大学院医学系研究科公衆衛生学・衛生学講座 教授
公開日:2024年4月30日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(2): 0024./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(2): 0024.
https://doi.org/10.57554/2024-0024

はじめに

 慢性腎臓病(chronic kidney disease : CKD)は、日本の成人の12.9%、約1,330万人以上が罹患していると報告されており、一般診療で遭遇することの多い疾患である。CKD患者の多くは高血圧を合併しており、高血圧の合併はさらなる腎機能低下へつながるため、CKD合併高血圧患者では適切な血圧管理が求められる。本稿では、CKD合併高血圧の薬剤治療について解説する。

1.高血圧とCKDの関連

 高血圧とCKDは密接に関連している。高血圧はCKDの原因となり既存のCKDを悪化させる一方で、CKDは高血圧の原因となり既存の高血圧を悪化させる。高血圧が持続すると腎血管が動脈硬化を起こし、腎実質への血流が低下する。そのため腎組織線維化や糸球体硬化を介して腎機能障害へと進展する。腎機能障害が進行すると、腎臓からのNa排泄障害による体液量の増加、レニン・アンジオテンシン(renin-angiotensin : RA)系の活性化、交感神経系の活性化が生じることで、高血圧が増悪する。CKDの進展や高血圧の管理不良は、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患(cardiovascular disease : CVD)発症のリスク因子である。この悪循環を未然に防ぎ、CVD発症リスクを低下させるために、血圧の管理は大変重要である。高血圧への対策としては、食事療法、運動療法、薬剤治療があり個々の状態に応じて必要な治療を選択する必要がある。

2.糖尿病とCKDの関連

 糖尿病も高血圧と同様にCKDに合併しやすい生活習慣病であり、糖尿病性腎症は本邦における末期腎不全の原疾患の第一位である。また高血圧と糖尿病は高率に合併する。糖尿病性腎症は微量アルブミン尿で発症し、持続性蛋白尿、腎臓機能低下へと進行する疾患である。糖尿病性腎症の治療は厳格な血糖調整に加え、アルブミン尿・蛋白尿を軽減させるため、糸球体への負担(糸球体高血圧)への対応が必要である。その治療としてRA系阻害薬が有効であることがさまざまな臨床試験で示されている。

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