6.医療スタッフが知っておくべき高齢者糖尿病の支援サービス
https://doi.org/10.57554/2024-0056
はじめに
わが国における65歳以上の高齢者の割合は2023年9月の推計で29.1%と世界で最も多く、80歳以上の人口も10.1%と10人に1人が80歳以上という超高齢社会のただなかにある。
こうした背景から日常の臨床でも、生活に見守りや支援が必要だと思われる例が増加している。高齢糖尿病患者を支えるサービスはさまざまあり、本稿では高齢糖尿病患者や介護者が特に必要とすると思われるサービスについて概説する。忙しい外来診療の中で全てを調整するのは非常に困難であるが、高齢糖尿病患者への支援の第一歩は、診療の中で意識して支援が必要な人や将来要介護となるリスクが高い人をスクリーニングし、速やかに地域包括支援センターなどにつなげることである。
1.高齢糖尿病患者は要介護リスクが高い
令和4年版および令和5年版高齢者社会白書によると、65歳以上の要支援あるいは要介護認定者は669万人である。75歳以上で要介護の認定を受けているものは23.4%、要支援の認定を受けているものが8.9%であり、合わせると75歳以上の約3人に1人が介護認定を受けていることになる。介護が必要となった主な原因で最も多いものが認知症、次いで脳血管疾患(脳卒中)、4番目に多いものが骨折・転倒であるが、いずれも糖尿病がその発症リスクとなる(図1)。また、糖尿病があると歩行障害を1.7倍、手段的ADL障害を1.7倍、基本的ADL障害を1.8倍きたしやすい 1)。さらに、糖尿病は、脳卒中、認知症、骨折などの疾患とも独立して要介護認定のリスクが1.6倍となることも報告されており 2)、高齢糖尿病患者は要介護リスクが高い状態にある。
