4.糖尿病治療と認知症予防
公開日:2024年8月8日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(4): 0054./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(4): 0054.
https://doi.org/10.57554/2024-0054
https://doi.org/10.57554/2024-0054
はじめに
糖尿病は認知症のリスクを約2倍に増加させる。糖尿病では、認知症の前駆段階と考えられている軽度認知障害のリスクも高くなり、遂行機能や注意力、記憶力などの障害により、服薬や食事・運動療法のアドヒアランス低下をきたし得る。そのため、認知症を予防することは重要である。糖尿病治療においては、高齢者の個々の状態に合わせた柔軟な血糖コントロール目標の設定や低血糖への配慮、血糖変動の抑制が必要である。また、運動療法や食事療法だけではなく、人との交流などの社会的活動を積極的に行うことも認知症予防に有効である可能性が示されている。近年では、これらの要因に同時にアプローチすることで、より大きな認知症予防効果が得られることが期待されている。本稿では、糖尿病における認知症予防のエビデンスに加えて、2019年からわが国で開始された「高齢者2型糖尿病における認知症予防のための多因子介入(J-MIND-Diabetes)」の成果について概説したい。