1.エネルギー設定の仕方

  • 森野勝太郎 Morino, Katsutaro
    鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 糖尿病・内分泌内科学 准教授
公開日:2024年11月8日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(6): 0080./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(6): 0080.
https://doi.org/10.57554/2024-0080

はじめに

 食事療法・運動療法は、糖尿病診療と合併症予防を考える上で、根源的な治療法である。しかしながら、糖尿病患者に対してどの程度のエネルギー設定をすればよいのか、実は明確なエビデンスが乏しい。本稿では、日本糖尿病学会刊行の『糖尿病治療ガイド2022-2023』および『糖尿病診療ガイドライン2024』を補完する形で、エネルギー設定について解説する。また、二重標識水法を用いた糖尿病患者のエネルギー代謝の実態調査に基づいて、エネルギー設定に関して考察する。

1.糖尿病と食習慣・運動習慣そして体重の関係

 現体重は、長期間のエネルギー摂取量とエネルギー消費量の出納の総和を表している。糖尿病に限らず、健常者あるいは多くの疾患にとって、理想の体重が存在するはずである。患者を個人としてとらえると、糖尿病以外にも複数の併存疾患を有していたり、高齢であったり、個人によってさまざまな条件が異なることから、「個人にとって理想の体重」を設定する必要がある。一般に肥満糖尿病患者にとっては、体重減少にメリットが多いであろうし 1)、逆にやせの高齢糖尿病患者では体重を増やすべきであろう。しかしながら、現在の体重に落ち着いている理由は、生活習慣、遺伝、併存疾患、薬剤などさまざまであり、食事量を習慣的に変化させることは容易ではないのも事実である。特にやせている患者の体重を増加させるのは容易ではない。

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