降圧薬の使い分けQ&A

  • 平山貴一 Hirayama, Kiichi
    横浜労災病院 内分泌・糖尿病センター
    中井一貴 Nakai, Kazuki
    横浜労災病院 内分泌・糖尿病センター 副部長
公開日:2025年12月18日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2025; 3(6): 0095./J Pract Diabetes Endocrinol. 2025; 3(6): 0095.
https://doi.org/10.57554/2025-0095

2型糖尿病に合併する高血圧症に対してカルシウム拮抗薬とARB、MR拮抗薬の3剤で治療していますが、腎機能が低下してきました。留意すべきポイントや薬剤調整について教えてください。

 

 ご質問のように、糖尿病を伴う高血圧患者では、ARB+Ca拮抗薬に加えてMR拮抗薬を併用する場面があります。腎機能が低下してきているということは、糖尿病関連腎臓病やほかの腎疾患による慢性腎不全を合併している可能性が考えられます。積極的に腎保護効果のある薬剤を継続して使用したいところですが、一方で腎保護効果があるARBやMR拮抗薬は、腎機能低下時には注意が必要な組み合わせでもあります。まず、留意すべきポイントは高カリウム(K)血症です。ARBもMR拮抗薬も血清K値を上昇させる作用があるため、併用下では相乗的に高K血症のリスクが高まります。腎機能が低下してくると腎からのK排泄能も落ちますので、定期的な血液検査で血清K値と血清クレアチニン値を確認することが大切です。もし血清K値が5.5mEq/Lを超えて上昇してきた場合は、MR拮抗薬の減量や中止を検討します。特に、MR拮抗薬の中でもエプレレノンは糖尿病患者において微量アルブミン尿や蛋白尿が出現した場合にも禁忌となり、エサキセレノンではeGFR 30mL/min/1.73m2未満で禁忌となるので注意が必要です。

このコンテンツは糖尿病・内分泌プラクティスWebをご購読後にお読みいただけます。

明日の臨床に役立つ時宜を捉えたテーマについて、内分泌代謝・糖尿病内科領域のエキスパートが解説。
毎週論文が更新され、いつでも “オンライン” で日常診療に役立つ情報をアップデートできます。

最新のアップデートに加え、これまでの掲載してきた100論文以上を読み放題です。
この機会に読みたかった論文に加え、気になる特集やセミナーを見つけてください。

■特 集(https://practice.dm-rg.net/main
内分泌代謝・糖尿病内科領域から押さえておきたい選りすぐりのテーマを、エキスパートが徹底解説。

■セミナー( https://practice.dm-rg.net/special
セミナー基礎医学から臨床に役立つ実践的な内容まで、多種多様なコーナーが学びをサポート。

■連 載(https://practice.dm-rg.net/series
独自の切り口と多彩な情報が満載、知的好奇心を刺激する連載。

【Q&A】研修道場 ポイントはここだ! 一覧へ 『3巻6号(2025年11・12月号)』(発行号ページ)へ

セミナー

連載