低酸素ストレスによるインスリン分泌不全
公開日:2024年11月12日
糖尿病・内分泌プラクティスWeb. 2024; 2(6): 0085./J Pract Diabetes Endocrinol. 2024; 2(6): 0085.
https://doi.org/10.57554/2024-0085
https://doi.org/10.57554/2024-0085
はじめに
インスリンは血糖恒常性の維持に必須のホルモンであるが、持続する高血糖は膵β細胞からのインスリン分泌不全を惹起する(糖毒性)。糖毒性によるインスリン分泌不全はさらなる高血糖を引き起こすことで一種の悪循環が形成される。高血糖はβ細胞に酸化ストレスやERストレスなどを惹起することでインスリン分泌不全を引き起こすことが知られていたが、近年の研究の結果、糖毒性の背景に膵β細胞の低酸素化という現象が存在していることが明らかになってきた。本稿では、高血糖が膵β細胞に低酸素を惹起するメカニズムおよび低酸素によるインスリン分泌不全機構について概説する。