1.2型糖尿病における第一選択薬は何か
公開日:2023年1月12日
No:a0002/https://doi.org/10.57554/a0002
はじめに
2型糖尿病は、インスリン抵抗性とインスリン分泌不全をその病態とする。一般に欧米人では前者が主体で、日本人を含むアジア人は両者が半々である 1)。病態に適した血糖降下薬を選択するのが理に適っているが、病態生理学には限界があることがあり、必ずしも理論・期待通りに糖尿病のアウトカムが改善するとは限らない。また、糖尿病は自覚症状が少ないので中断するケースが多く、最近では経済的理由で中断するケースが増加してきている現状 2)を鑑み、コストも無視できない 3)。
本稿では、糖尿病発症初期・糖尿病合併症のない場合を主体に、ビグアナイド薬(メトホルミン)を第一選択薬 4)として解説する。
1.糖尿病治療の目標
糖尿病診療の目的は血糖コントロールを良好にすることだけではなく、血糖およびリスク因子のコントロールと合併症抑制をして、最終的には糖尿病のない人と変わらない寿命とQOLを確保することである(図1) 5)。実臨床においては、病態だけでなく合併症・併発症や臨床的アウトカムのエビデンスなどを元に薬物を選択することが重要であり、日本糖尿病・生活習慣病ヒューマンデータ学会の「糖尿病標準診療マニュアル2022」 4)はその方針に則って作成された実用性の高い指南書である。
