骨粗鬆症の治療―骨粗鬆症治療薬の最新エビデンス―
公開日:2023年8月18日
No:a0056/https://doi.org/10.57554/a0056
1.ポイント
- 骨折リスクの高い患者に対しては、骨粗鬆症治療薬の有効性評価を参考にするなど、骨折抑制効果が認められている治療薬を選択する。
- 骨粗鬆症の診断基準とは別に治療開始基準が定められており、骨粗鬆症性骨折リスクが高い場合には骨折予防を目的とする薬物治療の対象とする。
- 副甲状腺ホルモン製剤、抗RANKL抗体製剤、抗スクレロスチン抗体製剤を含め、わが国における骨粗鬆症治療薬の種類も増えてきている。
- 今後、わが国における高齢者や男性を含めた骨粗鬆症薬物治療のさらなるエビデンス構築が期待される。
2.総論
骨粗鬆症は「骨強度の低下を特徴とし,骨折のリスクが増大しやすくなる骨格疾患」と定義されている。骨粗鬆症の薬物療法に際し、骨折リスクの高い骨粗鬆症患者に対しては、骨粗鬆症治療薬の有効性評価を参考にするなど、できるだけ骨折抑制効果が認められている治療薬を選択する。また、骨粗鬆症の診断には至らず骨量減少と判定された場合でも、骨粗鬆症性骨折リスクが高い場合には骨折予防を目的とする薬物治療の対象とし、骨粗鬆症の診断基準 1)とは別に治療開始基準が定められている 2)。原発性骨粗鬆症の診断基準に基づいて骨粗鬆症と診断された場合、ならびに骨密度がYAMの70〜80%の閉経後女性および50歳以上の男性において脆弱性骨折がなく、大腿骨近位部骨折の家族歴またはFRAX 3)の将来10年間の主要骨粗鬆症性骨折発生確率が15%以上である場合には、薬物治療の開始を検討する。