下肢切断を回避するために医療連携を含めたチーム医療を活用する ―後編 医療スタッフの立場から
はじめに
糖尿病の合併症が進行した患者の足病変は、チーム医療なくしては下肢切断を回避できない。順天堂医院「足の疾患センター」のような多職種が参加したチーム医療で関わることが望ましいが、多職種でのチーム医療を単一の医療機関で実施できない施設もあると思われる。特に足病変発生リスクが高い透析病院においては、他の医療機関と連携することが必須だと思われる。これは筆者の所属する大学病院においても例外ではなく、足病変予防期間、治療後の再発予防期間の管理をする医療機関なくしては足病医療の実施は不可能であり、医療機関を超えたチーム医療が必要となる。日本の医療制度は病院の機能分化を推進しており、地域全体でチーム医療を行っていくという考え方が必要だと思われる 1)。
1.順天堂医院のチーム医療の歩み
われわれは、順天堂医院「足の疾患センター」設立前、下肢救済チームとして自主的に活動していた期間が6年間程あった。その当時のチームメンバーは形成外科、循環器内科、皮膚科、糖尿病内科、腎臓内科、看護師だけであった。整形外科や血管外科の仲間がいない状況の中、自分たちにできる医療を尽くして下肢救済に取り組んでいた。院内でのチーム医療に尽力することはもちろんのこと、われわれは年に1~2回は院外講演会を開催し下肢救済チームの広報活動を行っていた。在院日数の短縮化や医療機関の機能分化の流れに則したチーム医療のために、院外の医療機関と連携関係を構築することも重要であると考えての活動であった。そのような活動をコツコツと積み上げていくことによって、下肢救済チームの活動が院内外に少しずつ認知され、紹介患者の増加につながった。講演会を通じて、透析クリニック、訪問看護ステーション、在宅医療機関などと連携をつなげることができ下肢切断が回避できた症例も少なくない。そうした歩みを経て2019年に「足の疾患センター」を設立するに至った。