低ナトリウム血症への対応(SIADHを中心に)Q&A

  • 井上玲子 Inoue, Reiko
    帝京大学ちば総合医療センター 第三内科 講師
公開日:2023年4月13日
「低ナトリウム血症への対応(SIADHを中心に)」に関するQ&Aです。

SIADHによる低Na血症に対する実際の治療方法を教えてください。

 昏睡やけいれんなどの中枢神経症状を伴う場合は、3%食塩水100mLを10分かけて静注します。重篤な中枢神経症状をきたす低Na血症のほとんどは血清Na値120mEq/L未満です。フロセミドの静脈注射を併用することもあります。意識障害や症状の回復がみられない場合には30分ごとに3%食塩水100mL静注を3回まで繰り返します。治療開始直後は1〜2時間毎に血清Na値を確認し、変動の傾向がある程度つかめたら2〜4時間毎に回数を減らしていきます。血清Na値が120mEq/Lに達する、または中枢神経症状の改善がみられたら3%食塩水による補正は中止または0.5〜2mL/kg/時間の持続静注に変更します。頭痛や嘔気・嘔吐、見当識障害など、軽度から中等度の中枢神経症状の場合には、3%食塩水0.5〜2mL/kg/時間の持続静注で治療を開始します。いずれの場合も浸透圧性脱髄症候群(ODS)予防のため、血清Na値の補正速度は24時間で10mEq/L以下、48時間で18mEq/L以下にとどめるようにします。血清Na値120mEq/L未満からNa補正を開始し、予想以上に血清Na値が上昇してしまった場合、3%食塩水は中止し、5%ブドウ糖150〜200mL/hの補液で血清Na値を下げる方向に治療することもあります。デスモプレシン2〜4μgの併用も有効です。このような逆補正をかける場合には1時間毎に血清Na値を確認し、目標血清Na値になるように調整します。

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